独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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今まではポーランドへ向かった時の道行きばかりだったが、これはオランダからドイツに戻った時の話。

そもそもオランダは私の専攻する古楽の盛んな土地で、私は頻繁に行き来しているのだが、ここでも移動費を安く上げるために、初めはなるべく鈍行とIC急行を組み合わせた乗り換えで行き来していた。

そうすると、どうしてもVenlo というオランダ側の国境駅からからケルンまではRB(レギオナル・バーン)という鈍行に乗る事になる。このVenlo ではいつでもどこかを工事していて、トイレが封鎖されていて近くの美術館まで行って借りたりしなくてはいけなかったり、別の番線の行く階段が工事中で、高架を伝って長い道のりをスーツケースを抱えて遠回りしなくてはいけなかったりして、いつも非常に不便なので、最近ではあまり使わない方法になった。

そのケルンまでのRB の中で、一度すごい酔っ払いのおっちゃんがフラフラしていた。
おっちゃんは誰かれ構わず話しかけていたので、

「来たら相手するの面倒だなあ・・・。」

と思いながら本を読んでいたのだが、私が見るからに外国人だと言う事もあって、幸運にも向こうも敬遠してくれた。私の前でパソコンをいじっているお兄ちゃんなんかは話しかけられても露骨に無視していた。

おっちゃんはそのうち、私の斜め前に座っている父娘が犬を連れていたので、その犬に構いだした。

犬はいかにも怪しい人であるおじさんに勿論吠えかかったので、おじさんは

「あやしい人じゃないよう!おじさんは犬が好きなだけさ。ごめんよう。」

と親子連れに謝っていたが、いかにも優等生サラリーマン風のお父さんが、

「申し訳ありません!普段はこんなんじゃないのですが!」

と、いかにも「僕は人を見た目で判断したりせず、酔っ払いでも寛容な応対が出来るのさ」といわんばかりの表面上の感じのいい対応をしていた。

おっちゃんは、ドイツには掃いて捨てるほどいる「空気を読まない人」だったので、構えば構う程、犬が吠えるというのにずっと犬と戯れていたが、そのうち娘に目をつけて話し出した。

多分9歳ぐらいのかわいい女の子だった。

「お父さんとお出かけかい?いいねえ。兄弟はいるの?」

とおっちゃんが訊くと、

「弟がいるの。」

と彼女は子供だから素直に答えていた。

「でも今日は弟はいないんだね?」

とおっちゃんがしつこく質問すると、

「弟は今日はお母さんといるの。私のお父さんとお母さんはもう一緒に暮らして無いから、今日は私がお父さんの所に来たの。」

と、いきなり家庭の事情を暴露しだした。
おっちゃんもおっちゃんで、

「それじゃあ、お母さんと3人で寂しいねえ。」

などと言うと、

「ううん、お母さんには新しい恋人がいるから別にいいの!」

と、子供は何も知らないからどんどん暴露。

ふと気付くと、先ほどまで寛容な笑みを浮かべていたお父さんは無表情になっていた。
どうみても早く下車したそうだ。

その3駅後ぐらいでこの父娘連れは降りて行ったが、それまでに彼らの家庭の事情は同じ車両のみんなが知る事になってしまった。でもまあ、離婚率が確か48パーセントのドイツでは、よくある家庭なのだが。

私は、初め寛容さを装っていたお父さんが、どんどん正体を表情に顕していくのが面白くてつい観察してしまった。ドイツではこういう見せかけで親切そうにする知識階級の人が割合いるが、大抵、ポーズである場合が多い。

今まで私が出会った本当に親切だった人たちはみな、プロレタリアだった。親切をするとなったら体を張る感じだ。こういう見せかけのタイプは、自分が損する場面になると急に引いて行く。

そんな一場面を電車の中でも目撃してしまった。

この日はその後も色々あった。

デュッセルドルフからケルンへのICの中で、ドイツ・オバタリアンがいっぱい乗ってきた。
何しろおばちゃんが15人ほどもいたから、でっかい声でくっちゃべって、ガハガハ笑うもんだから、車両の中は一気に沸いた。

そのうち車掌さんが検札に来ると、代表のおばちゃんがチケットを清算しようとしていたが、

「何これ?!たったケルンとデュッセルドルフでこんな高いの?あり得ないでしょ!!」

と文句をつけだした。
車掌さんが相手にしていないと、

「どうなってんのよ、ちょっと。詳しく教えてくれない?あなた何ていうお名前?Herr. Schneider? 覚えておくわ。」

などと車掌さんの名札まで除きこんで名前のチェックまでしだしたから、

「いやいやいや、待ってくださいよ!これは急行料金も加算されて、この値段だから正規料金です。それに車内でチケットを購入する場合、4ユーロ加算されて・・・」

と、流石に初め感じ悪かった車掌さんも、勢いに押されて丁寧に説明し出した。

なるほど、ああすればいいのか・・・と、学んだ瞬間だった。
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コメント
No title
こんにちは。
My Blogへのご訪問ありがとうございます。

私の知らない電車の旅の風景、楽しく世まさせていただきました。

おドイツのオバタリアンパワー、目に浮かぶようです。
私もオバさんですが、先ずパワーからしてドイツ人(というかヨーロッパ人)にはかなわないです。

又遊びに来ますね。
2010/08/18(水) 16:58:58 | URL | phary #nlhry96Y[ 編集 ]
Re: No title
こちらこそご訪問ありがとうございました。
何分、ブログ初心者で機能が全くわかっておりませんので、訪問記録が残るとは知りませんでした!
ちなみに初コメントでした!
私は移動ばかりの生活なもので、得意なネタで攻めております。
2010/08/19(木) 15:52:24 | URL | ひだる神 #-[ 編集 ]
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