独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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私がドイツの大都市に引っ越そうとした時、私は部屋探しの段階で既に大きな問題を抱えていた。

そもそもこの大都市は部屋探しが難しい事で有名で、誰もが10数件見て廻ってやっと入居できる状況だと聞いていたし、私自身も見つかるまで14件ぐらい物件を見て廻ったと思う。

最後に郊外にあるアパートを訪ねたのだが、そこはある家族が借りているアパートのうちの1室で下宿するタイプの部屋だった。値段は探している中でも一番安く、田舎の小さな村でそれまで暮らしていた私は、寧ろ郊外に住んだ方が大都市の中に住むよりショックが少なかろうと思ってここに決める旨を伝えた。

大概、部屋を貸す方でも幾人か候補を見て絞って一緒に暮らしていくのに合いそうな人に決める為に、入居したい旨を伝えてもその後決まる確率は決して高くない。

この時は私自身も14回目だっただけに、半ば諦め半分で入居を申し出たと思う。

ところが色々あって、結局ここに決まる事になった。

元々ここは米軍が駐留していた時にその家族が暮らすために建てられた建物で、米軍が移動して空いた建物を安く貸しているらしい。

どういう経緯でそうなったのかは知らないが、ここに住んでいるのはどうもヒッピーばかりだったので、私はヒッピーアパートメントと呼ぶことにした。

ここはどの部屋も1家族と下宿人などの構成で集団生活している様で、この家族の所にも不定期に劇団員の青年マルクスが訪ねてきたり、サーカスが目の前の広場にテントを張って電気をここからもらっていたり、これからユーラシア大陸横断に出かけるキャラバンみたいなヒッピーたちが泊まりに来たり色々あった。

近所もヒッピーだから、仲良く夏にはバーベキューを中庭で企画したり、キャンプファイアーみたいに火をおこして、それを囲んで子供たちも含めてみんなでお食事したり、誰かがギターを弾いて歌ったり、絵に描いたようなヒッピー生活だった。

地下には洗濯機が置いてある横の部屋に彼らの自作のバーがあり、生意気にもピアノが置いてあって生演奏も出来るようになっていて、土曜の夜などにパーティーをしている事もあり、どうにも怪しい匂いが漂ってくる事もあった。

ここに私は合計1年ほど住んで、その後も用事がある度に訪れたりしているのだが、一緒に生活するとどんなにマイペースに生きていても何かしら影響は受ける。

私は大学から音楽大学に入って、ずっとクラシックの世界で生きてきたが、ここでまるで違うヒッピーの世界と接点が出来たのだった。

ちなみに私が一緒に住んでいたヒッピー家族は両親と子供二人の家庭で、今は3人目が生まれて男の子3人の賑やかな家庭になっている。

ヒッピー家族たちと暮らしていて、良かった事もあり、腑に落ちない事もあり。

良かった事は、ヒッピー達の生活力の強さや「なんとかしてしまう力」と寛容な所を学んだ所。

壊れたものや使えないものを、何か工夫する事でなんとか乗り切ってしまったり、フリーマッケットやe-bay で最低価格で必要なものを手に入れたりする技術はすごい。

例えば壊れた同じ製品をほとんど捨て値で2つ買い集めて来て、壊れてない部品を組み合わせて1つにして直してしまった挙句に、それをフリーマーケットで売って何倍もの価値にしてみたりなんて事はお手の物だった。

そしてその仲間内でのネットワークというか助け合いの精神とその寛容さも、クラシック音楽界で生きてきて、少しでもいいものを持っているとぶんどられてしまう・・・みたいな経験を若いうちに何度か重ねてしまい、猜疑心と警戒心にまみれた私には非常に新しい経験だった。

しかしそれでもあのヒッピー親父とは何度も意見を戦わし、分かり合えない所はいくつかあった。

(ちなみにドイツ人は議論が大好きで、小さい頃から議論する習慣を教育の中で見につけていく。
異なった2つの意見をぶつけつつも、どこで妥協点を見つけて、異なりつつも共存していくという技術を身につけているように思う。)

例えば一昨日、私たちはブラジル人のお客さんが来ていたので、ブラジルに関する話題をしていた。

私はブラジル人の知り合いは以前に住んでいた黒い森の小さな村で主に知り合った人ばかりなのだが、彼らは何故か全員が歌手で、そのうち一人はかなり特別な人生を歩んできたという話を聞いたことがある・・・とヒッピー親父に話していた。

カルロス(仮名)というその人は、どうも他のブラジル人によると元々ストリートチャイルドだったらしい。

その彼に宿る並々ならぬ歌声を見抜いて牧師だか誰かがドイツに連れてきたそうだ。

しかし驚くべき所はそこではない。

まず、彼は今までに2度結婚していて、2度とも離婚している。

一度目は学生時代に知り合ったドイツ人の女性で、離婚はしたものの、その時にドイツ国籍を取得したらしい。

2度目の結婚がその小さな村では有名だったのだが、ある男性と結婚した(奴はどうもバイセクシャルのようだ。)のだが、その男性に二人で住もうという事で家を買ったか建てさせた。

その男性は親の援助のお陰もあり、近くの町に家を建てたそうだが、どうも家を建てる時の書類などがわかりにくかったのか知らないが、それらを彼に代わって全部カルロスがやったそうだ。

最終的に彼が気づいた時には、家の権利が何故カルロスの名前でだけ登録されていて、離婚した時に共同財産として処理されるはずのその家は、カルロスにまんまと騙し取られてしまったという。
家を建てるお金はその男性が一方的に出資していたという話だった。

そういう訳でトロ村では彼の話は「2度の結婚でドイツ国籍と家という、彼の欲しいものを全て手に入れた男」としてよくネタにされている。

実は私もこの話はかなり以前に一度聞いていた。

2度目に聞いたのは村での共同部屋での同居人のユーリー(仮名)からだったが、それは新しく共同部屋に入居していたシュテファン(仮名)という小汚い男を、私やもう一人の同居人のカトリン(仮名)がいまいち好きになれず嫌っているのを見て、

「あいつはかわいそうな奴なんだよ・・・」

と話し始めて、私はその家を騙し取られたホモの男が、なんとその同居人のシュテファンだという事を知ったのだった。

シュテファンは小汚いだけでなく、少し壊れていた。

彼がものすごく孤独なのも一緒に住んでいたから、なんとなくわかっていた。

実はその前に住んでいた別のルームシェアの同居人の赤毛のダニエルの所にも彼はよく出没していて、ちょっと親切にするともんのすごく喜ぶ事からもそれを私はなんとなく感じ取っていた。

だからユーリーから話を聞いて寧ろ彼の状況が納得できた。

その話をいわゆる伝説としてヒッピー親父に話し、

「だから他のブラジル人も、『彼の有名な噂のせいでこの村ではブラジル人の印象が悪いんだけど、彼が特別な人なんだよ!全く困るよ!』とよく話していたんだよね。」

と言うと、ヒッピー親父は何を勘違いしたのか、

「だから僕は君にいつも言っているじゃないか!国籍でこの人はどうだとか判断するのは間違いなんだよ!」

と説教しだして私は

「は?そんな話じゃねーし。大体そう判断してたのは一般の村人で別に私個人じゃねーし!」

と、なって場がめっちゃくちゃ白けた。

だから

「別にそんな話ないじゃん。ただ、この人のある意味サクセスストーリーがすごいねって話じゃん。」

と勿論言い返した。

流石にどっ白けた場の空気はこの親父でもわかったらしくその場はそこで収まったが、そもそも昔からこの点でこの親父と私は完全に意見が対立している。

私は前にもこのヒッピー親父がもう一人の同居人の韓国人の子が自分たちとコンタクトを取ってくれないので理解できない、と話していた時に、

「私は韓国人と対する時は、最も日本に見かけも地理的にも言語的にも近い国なだけに、寧ろどういう所で違うのかを知っておかないとお互いにものすごい誤解が起こってしまうのですごく気をつけている。似て非なるという言葉そのものだ。 」

という話をした事がある。つまり、彼女には彼女の価値観があって行動している訳だから、別にヒッピー親父が考えているように彼を嫌っている訳では無いのだと言いたかった。(実際はかなり苦手には思われていたが。)

その時もこのヒッピー親父が、

「そんな事言ったって、人はみんな一緒だよ!何人だからどうとか考えるのは間違っている!」

と言い張って話にならなかった。 彼の正義感の琴線に触れるテーマらしくしこたまうざかった。

私がドイツに始めて来た時、周りは韓国人留学生だらけだった。

彼らの中で勉強を始めて、初めは色々誤解してかなりのストレスを感じていたが、そのうち彼らの行動様式を知っていくにしたがって、事前に対処できる問題が増えて、その後は普通に韓国人の友達も増えてきて今はすごく仲の良い友達が数人いる。

それまではドタキャンは多いし、個人的に知り合うまでは相手を人間扱いしないし、友達という関係が日本人に比べて妙に密度が高いしで結構困った事が多かった。

韓国人の友達の側にしても、日本人は表裏あって考えている事と言う事が違うし、仲良く付き合ってても親しき仲にも礼儀があるから難しく感じる事はあると言っていた。

それ以降、私は育った環境や価値観が違う以上、その違いを知った上でなければ相手を友達として理解した事にはならない、というスタンスだ。理解した上で相手の世界にリスペクトを持って接すればよい。

寧ろこの親父の「人類みな一緒」という、いかにもヒッピーの単純な発想をこそ、白人文化圏の傲慢のなせる業だと思うのだ。

そういう浅はかで馬鹿な白人が大概、イスラム文化圏で自分の国と同様に振舞って宗教警察のお世話になったりするわけだ。

挙句に 厚かましい事に

「21世紀の世の中でそんな教義を守りぬくほうがおかしい」

と発言する事すらある。

そんな態度のどこに相手の国の文化に対するリスペクトがあるのか。自分たちの価値観の押し付けじゃないのか。

もし私の例えがわかりにくければSSと略される団体のの行っている活動について日本人としての立場から調べていただければ私の言いたい事がわかると思う。

白人たちがかつて鯨油欲しさに鯨を乱獲して絶滅寸前に追いやった挙句に、今は鯨やイルカは頭がいいから日本人たちが食べるなんて残酷だと抜かす。

私は以前、ドイツの農家にも下宿していたが、その時に庭で飼われていた豚だってかなり表情豊かで頭はいいと思った。誰が豚を食べてよくて鯨は駄目だと決めたのか。気の毒な漁師さん達が我慢しているのをいい事によその国にまで来て自分達の正義を振りかざす彼ら。

ヒッピー親父と彼らの困った共通点は、なにやら彼らの正義感に燃えてそれを絶対的な正義だと信じきっている所だ。正義なんてものはそもそも相対的にしか存在しない場合がほとんどだ。

だから私には他人の文化に土足で入ってきて、自分たちの価値観を主張する事が正義だとはどうにも思えない。
そもそも相手の国の文化の成り立ちや気候、環境、宗教や習慣をきちんと知ろうともしないで自分達の主張を押し通そうとするのはいかがなものか。

また困った事に彼らこのSSの母体だったGだとかWとかいう偽善団体もヒッピーは大好きだ。どうも機関紙まで取っているようだ。

きっと何か共通して彼らに訴えてくるものがあるのだろう。

そういえば以前、ヒッピー家族の所にイスラム教徒の家の子供が遊びに来ていて、豚肉が食べれないので一緒のものを食べられなかった事があった。

その時に私がヒッピーに

「なんでイスラムの教義では豚を食べてはいけないのか知ってる?」

と話した時もまるで私が差別主義者である様な目を向けてきた。実は豚肉を食べる事が出来ないなんてナンセンスだと思ってはいる様だったから私の言葉を誤解したのだろう。

そもそもイスラム教徒が豚肉を食べないのは、彼らが遊牧生活をしていた大昔、火を使わずに獣の肉を食べる場合、豚肉は雑菌があまりに多すぎて食中毒で命を落とす危険が多かったから、「豚肉は不浄のもの」として忌まれてきたのが戒律に変化したのだ。

現在でも生豚肉が原因でO157などによる食中毒で命を落とす人が出ているのはよくニュースで見かけるではないか。

彼らの先祖がどういう生活をしていたかに繋がる彼らの文化だ。

それを全部説明した。でも親父は何故か興味なさそうだった。 ナンセンスだと思っているのだろう。

どうも、そんな立場で言う「人類皆兄弟」なんていうのは、私の狭い価値観には全然受け入れられない。
私の大嫌いな偽善臭がぷんぷんしてくる。

まあでも、白人というのは昔から何度もそういう文化侵略をやってのけてきていて、例を挙げるにも数が多すぎるほどだ。

十字軍やイスラエルの建国からしてそうだから、自覚するしないという大切なポイントはとうの昔に過ぎてしまったのだろう。自分が正義だと思っていないとアイデンティティが崩壊するのかもしれない。

日本で言えば生麦事件でのイギリス人たちとアメリカ人との対応の違いなどがわかりやすい例だ。
大名行列を下馬せずに横切ったイギリス人は薩摩隼人に成敗されてしまったが、そういう文化があると知っていたアメリカ人は大名行列を見かけたら道の脇に立って帽子を取って敬意を表す様にしていたため、そんなトラブルに見舞われることは無かった。

彼ら欧州人に

「もしかして俺らがやっている事は間違っているのではないか?」

と自省する習慣が1ミリでもあれば大分世界は違っていた様に思うが、欧州でそういう習慣をもつ人間は貴重でこそあれ、マイノリティとして不便を強いられているようにすら見える。

とにかく、いくら議論してもヒッピー親父とこの点に関してどうにも意見が交わる事が無いのである。

ましてや自分自身が異国の地で異国の文化を吸収して努力を重ねてなお、

「なんで日本人なのにヨーロッパの古楽なんてやってんの?」

などといわれる身分であるだけに、なんか割り切れない気持ちを感じる。




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