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独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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どうにも遅筆の私はしばらく書いていないうちに新しいネタばかりが頭の中で膨れ上がってしまう。

マカオの続きも書きたいのは山々なのですが、それを推敲する間に新しい話も出てきたのでそちらを先に書いてしまいます。

先日、私は再び経費削減のためにヒッチハイクサイトでスイスへの移動のための相乗りさせてもらう車を探していた。

いくつか出発地と目的地が一致した乗り合いが存在したのだが、3つほど問い合わせてみたのだがどれも満杯だという理由で断られてしまった。

そのどれもがスイスの携帯電話の番号でドイツ系、もしくはフランス系の名前だったのだが、一つだけイマームという、なんとなく中東・イスラム系の名前が目に入った。出発地、目的地への条件も完璧だ。

ちょっと大丈夫かな?と思わないでもなかったが、なんとなく大丈夫だろうという第6感を信じて連絡してみると、やっといい返事がもらえたではないか!

それで旅支度を整え、待ち合わせ場所の中央駅北口へ向かうと、現れたのはやはりトルコ人ぽい感じのおじさんだった。

しかし車の中で見てみると南米系にも見えなくも無い。いったいどこの国の人だろうと思いつつ、どのタイミングでそれを質問したらいいのか私はタイミングを推し量っていた。

もう一人の相乗りはアフリカの多分、スーダンから来た人で、(よく聞こえなかったが初めが「ス」だった。)カールスルーエで仕事が決まったので移動するのだと話していた。

その時におじさんが

「僕もカールスルーエには2年ほど住んでいたからよく知ってるよ!カールスルーエのどこで降ろしたらいいかな?」

と話し始めたので、私も話しに加わろうと、

「そうなんですか?私も一時期、カールスルーエにいましたよ。とても綺麗な街で住み心地がとても良かった!」

と話すと、おじさんも打ち解けてきて、おじさんもカールスルーエが大好きだったこと、でも今はフランクフルトで空港の仕事をしているのだと言うことなど話してくれた。

「君はちなみに日本人?韓国人?」

と訊いて来たので

「日本人ですよ。でも95パーセントぐらいの確立で中国人と間違われるんですけどね!」

というと、

「いや、中国人じゃないのはわかっていた。君の雰囲気は全然中国人とは違うよ」

とやけに確信的に言うのでその時はなんでだろう?と思ったが、その後で

「おじさんはどこから来た人なのですか?」

と訊くと、なんと東トルキスタン、つまりウイグル人だと教えてくれた。

アフリカ人のお兄ちゃんはそうは言われてもどこかわからない様だったので、すかさず

「それはシルクロードの入り口の辺りですよね。あの辺りの砂漠で昔、随分と中国が核実験をしたと聞いたことがあります。」

と話したら、

「そうだよ。だから中国は大嫌いなんだ!」

とおじさんは語りだした。

「あ、だからおじさんは私が中国人じゃないってわかったんですね?じゃあ、パスポートはもしかして中国なんですか?」

とちょっと差し出がましいことまで私は訊いてしまったが、おじさんはもう亡命してドイツ国籍を取得したのだそうだ。


「本当に良かったですね。私が聞いた情報では、中国では漢族以外はものすごい権利が少ないと言う事だったので・・・」

と言うと、


「そうだよ。チベットやウイグルはいつも迫害されてきた。共産主義って言うのはひどいもんだよ。ひどい環境を訴えてデモなんかしても、国に逆らった発言をしたら殺されちまう。だから出てくるしかなかったんだ。」

と身の上を話してくれたが、今まで上海で出稼ぎをして出国するためのビザのお金を稼いだり、随分苦労の多い人生だったようだ。よく見るとその苦労は、そのままおじさんの顔に刻まれていた。

同じ様に出稼ぎで国を出てきたであろうアフリカ人のお兄さんにおじさんは愛着を感じているらしく、途中のカールスルーエでお兄さんを降ろす時に

「頑張れよ!俺のジェームズボンド!」

と暖かく声をかけていた。ただ、なんでジェームズ・ボンドなのかは謎だったが、お兄さんもぶんぶん手を振って別れを告げていた。

その後、高速道路の休憩所で次の乗り合いのドイツ人女性を乗せることになっていたのだが、待ち合わせ場所に着いておじさんが彼女にいくら電話しても電話に出ない。

「彼女、バーゼルまで乗り合いお願いするって言って来て、俺の車以外に可能性が無いから絶対来いって行ってたくせに何で電話に出ないんだろう?」

と首をかしげつつ、応答が無いので走り始めてしばらく経つと電話が鳴った。

流石におじさんも切れて

「僕たちも休憩所で探し回ってたのに見当たらなかったじゃないか。せめて外で待って探すとか出来なかったのか?さらに電話に出なかったらこっちだってどうしようも無いじゃないか!!」

と相手に怒っていたので、大概の相乗りで良くあるように「僕たちはもう出発しちゃったからどうにも出来ないよ!じゃあね!」とおじさんも言うもんだと思ったら、

「2キロ先の休憩所で待ってるから今すぐ来い!」

とおじさんはヒッチハイクの相乗りにしては、かなり親切な提案をしてあげていた。

果たしてドイツ人女性は彼氏の運転する車でしばらくしてから現れたが、お陰で私たちは30分ほどロスをくらったわけで、おじさんはそれに対しては内心結構怒っていた。

それでも見捨てて出発しないで待っていたというのは、かなり親切だと私は感心していた。
しかし隣に座っているドイツ人女性はどう見てもトルコ系のおじさんを見て、怪しいと思ったらしく、ものすごい警戒心をおじさんに対して放っているではないか。

自分が待ち合わせ場所でちゃんと探しやすい場所にいないで彼氏とくっちゃべっていたんだろうに、さらにおじさんがわざわざ親切にその後で休憩所で待ってくれていたのにこの態度はいったい何なんだよ?!と流石の私もあきれたが、何の苦労も無く白人として生まれ育って、外国人なんて犯罪者だと決め付けている奴らは普通に多いのだ。世間なんてこんなものなのかもしれない。

それでも、おじさんが気の毒になったので両方に話題を色々振ってみたが、このドイツ人女は私の話には答えるが、やはりおじさんにはあまり話しかけない。

人を見た目で判断してはいかんなあ・・・と流石に他山の石を思わされた。

彼女はバーゼルで降りて行ったが、高速道路沿いにあるという理由で、バーゼルの中央駅ではなく、その手前の。バーゼル・バード駅というスイスとの国境のドイツ側の駅で降ろすことになった。

その事についておじさんは

「普通、車に乗せてあげた相乗りの人は、なるべく自宅近くまで運んであげたいのにすまないねえ・・・」

と言っていたので、流石のドイツ女も少し和んだ様で、

「いえいえ、高速道路沿いだし便利ですから充分ですよ!」

と返していて少しホッとした。

その後、おじさんにウイグルの文化について色々質問してみた。

言葉はトルコ語だろうと思っていたが、やはりそうで、古いトルコ語の特徴を今でも残している言葉だそうだ。
食べ物はやっぱりトルコ風なのかと思ったら、意外にも麺類やスープが多いそうだ。

「ウイグルっていうと、シルクロードのイメージで憧れるんですけど、あそこで仏教が西方の一神教の影響を受けて、阿弥陀仏や妙見菩薩となって、その後に日本にまで流れてきたと私はどこかで読んだのですが、今はイスラム教なのですか?」

と訊くと、やはりイスラム教なのだそうだ。ラマダンの断食もするそうで、今は仏教などの宗教は一様に共産党に消滅させられてしまったとのこと。

「今の中国人は金しか信じてないんだよ。」

とため息をついていた。

それにしても、亡命して国を出てきてしまったから、もう国には戻れないと言っていたけど、故郷に2度と戻れないなんて私には想像もできません・・・・と正直に言うと、

「でもいつの日か中国が民主化したら帰るんだ。その日が一刻も早く来るのを祈ってるんだ!」

と話してくれた。やっぱり、どんなに迫害された場所でも、故郷には帰りたいんだなあ・・・と思った。

私がYou Tube で見た事のあるウイグルは核実験か放射性廃棄物によって放射線量が非常に高くて、さらに中国政府の役人のひどい扱いに耐えかねて暴動が頻繁に起きているが、メディアが踏み入れることは厳しく規制されている大変な場所だった。

そこから亡命してきたドイツで、9ヶ月になる娘が誕生して幸せそうなおじさん・・・・(と、いうか、改めて見直すと、どうも苦労しているから老けて見えていたのかもしれないが、どうもよく見たらまだお兄さんと言える年代のようだが)それでもいつか故郷に帰りたいんだな・・・と切なくなった。

おじさんはウイグルに興味を持たれたのが嬉しかったのか、今度フランクフルトに戻ったら、ウイグル料理を振舞ってやるから連絡してね!と招待してくれた。

マカオに行った時も、生まれた国によって人生がここまで違ってしまうのか・・・と、あまりの中国内での格差社会をフィリピン人やインドネシアからの出稼ぎの人たちを見て思ったが、ここにも同様の思いの人がいた。

日本に生まれたという事の幸せを彼らになんだか申し訳なく思い知らされた。

ただ、おそらく彼と同じように放射能によって故郷を去らざる得なかった原発の被害に遭われた方も同じ日本に生まれたのだ・・・・。









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