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独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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ポーランドの電車
これもポーランドへ向かう列車の中での話。

現在、住んでいる街、フランクフルトはドイツの中心に位置しており、列車で移動するには非常に便利な位置関係にも関わらず、やはりポーランドに向かうのは遠い。

この時は国際チケットのタダ券をドイツ鉄道カードのポイントを集めて遂に手に入れた時だったので、珍しくICE特急でドレスデンへ向かい、そこからブレスラウまで延々と続くRE(レギオナール・エクスプレス。東海道線の鈍行みたいなもの。)に乗り換えた。

ICEはドイツの誇る新幹線に当たる列車で早くて快適で、座席には枕もついている。
私の様な貧乏人は滅多に利用出来ないが、それだけに乗客もランクが違う様に見える。

だからドレスデンまではビジネスマンや、年金受給者(ドイツでは随分もらえているらしく、金を持っている老人が多い。)や家族旅行なんて人々を車内で多く見かけた。

それがRE に乗り換えた瞬間、もう別世界。この時もイースター休暇の時期だったので、休暇を利用してポーランドへ帰省する出稼ぎのポーランド人たちの大荷物で、またもやREの車内はごった返していた。
彼らの持ち帰る荷物に、ここでも何故か洗剤の10キロの箱を発見。ポーランドの洗剤は余程悪いらしい。

このREは、ドレスデン始発だったのだが、血走った様に座席確保する人たちが恐ろしく、諦めた私は初めは立っていた。呑気な私はドイツ・ポーランド国境のゲルリッツあたりで電車が空くだろうとタカをくくっていたのだ。

それが乗客のほとんどが既にポーランド人で、ゲルリッツに着いたからと言っても別に車内が空く訳ではない。
かと言ってゲルリッツからブレスラウまで3時間半はかかるので、流石に車掌さんに

「どこか空いてませんか?」

と訊くと、

「難しいなー。まあ、ここ座ってもいいよ。」

と1等席を勧められた。あまりに場所もない事だし、見逃してくれるそうだ。
ありがたい、とやっと座ったのも束の間、しばらくしてまた検札が始まった。

ゲルリッツの後、国境を超えた時にポーランド側に車掌さんに切り替わっていたのだ。

「これは立たないと駄目かなあ?他に席無いですよねえ?」

と前のドイツ人らしきおじさんに話しかけると

「そうだねえ。私はこの電車によく乗っているけど、いつもこんな感じに混んでいるから、最近では1等車を初めから取ってしまうんだよね。そんなに高くないよ。」

と言っていた。

「ああ、よくポーランドと行き来されているんですか?」

と話しかけると、おじさんの2歳になる娘がウクライナにいるそうで、ブレスラウで乗り換えた後、クラコフを経由してウクライナまで出るそうである。何時間かかるのやら。

そういった感じで、おじさんと雑談していると早速ポーランドの車掌さんが来た。
そのポーランド語しかわからない車掌さんは

「1等車に座りたいならあと30ズウォッティ必要です。」

と言っていたのだが、なんとおじさんがこの30ズウォッティをおごってくれてしまった。
仲良くなっておくものである!!

まあ、何しろドレスデンから5時間も列車に揺られるのである。
私もおじさんも充分退屈していたから、話し相手が出来てお互い有りがたかったのもある。

それにしても、以前IC急行でポーランド国境を越えた時も、電車の速度が下がったのだが、今回は対して早くもないRE に乗っているのにも関わらず、国境を越えた途端、電車がまた明らかに遅くなった。

「呑気なもんですな。」

とおじさんと話していると、こんな速さでも、この後、おじさんはブレスラウで20分後のクラコフ行きの
電車に乗り換えるそうなのだが、いつも後の電車には間に合っているのだそうだ。
さらにそのクラコフ行きの後に乗り換えるウクライナまでの接続に成功する乗り継ぎはこのブレスラウでの20分後の電車だけで、これを逃すと明日までウクライナに向かう電車が無いそうである。

そこでおじさんは、

「まあでも、それで電車が遅れて乗り換えが出来なくても、ヨーロッパの列車協定で、こういう場合のホテル代は列車会社が払うからいいんだよ。」

と余裕をかましていた。私もその時は「そうなのか。」と納得した。確かにDB(ドイツ鉄道)でそういう事になった友達がIntercity Hotel という結構いいホテルにただで泊まれたという話を聞いた事があったし、私自身も列車の遅れで最後の乗り換えの時に終電を逃してしまい、タクシー代をDBが立て替えてくれ事があった。

ところがしばらくのろのろと走った電車は、ブレスラウに着く1時間前くらいの場所で、遂に止まってしまったのだった。

どうも車両の故障か何かだそうで、ポーランド語で何か言っている。
後で近くのドイツ語が出来るポーランド人のお兄ちゃんが親切でなんとなくそういう事らしいと教えてくれた。

そこで困ったのは20分の乗り換え時間しか無いおじさんである。
この復旧作業は皮肉にも25分かかった。

どう考えてもあのノロノロ運転では25分を取り返せるとも思えない。

流石におじさんも困ってきて、そのドイツ語の出来るお兄ちゃんに通訳してもらい、ブレスラウで乗り換える電車が待ってくれる様に車掌に連絡を取ってもらうおうと頼んでいた。

お兄ちゃんはポーランド人だから、

「大丈夫だよ!どうせ次の電車も遅れてるだろ。」

と初めは言っていたが、おじさんが、

「でも、そこで乗り換えが出来ないとウクライナまで行く電車は明日まで無いんだ。出来れば今日中にウクライナに着きたい。まあ、駄目でもホテル代は電車会社が払うからいいんだけれども・・・」

と言うと、お兄ちゃんが

「あんた・・・もしかして本当に電車会社がそんな事してくれると思ってるのか???もしそう思っているなら、俺が言える事はもう、『ポーランドへようこそ!』しかないな!!」

と上手いジョークをいいおった。

確かに、思えばここはポーランドだ。ホテル代を私の友達に支払ったのも、私のタクシー代を立て替えたのもドイツ鉄道であって、ポーランドの悪名高い鉄道会社では無い。

見渡せば、駅も別の電車の車両もボロボロ。街には共産党時代に出来た共住アパートが、当時の石炭ストーヴによる煤で真っ黒になりながらも、まだ使われている様な場所だ。
歩いている人たちの服装すらもポリエステルが多い様なポーランドで、ホテル代を電車会社が立て替える事が出来るとは私にも到底思えなかった。大体、そういう交渉も、ポーランド語が出来ないおじさんにはそもそも無理だろう。

そこでおじさんも真っ青になり、愈々車掌さんに圧力をかけ、

「速く走るか、後続電車を待たせてくれええ!!」

とお兄さんを通じてさらに頼んでいた。
それでもどうやら連絡が通じたらしく、待ってくれるという返答はもらっていた。

このおじさんとは、荷物を次の電車まで運ぶ約束をしていたのに、混雑していたブレスラウのホームではぐれてしまった。

でも、多分、クラコフ行きの電車には乗れたんだと思う。

















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