独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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ハーグ
まさに日本の帰省ラッシュと同様、クリスマスを家族と共に過ごす欧州人たちは、クリスマス前に一斉に故郷目指して移動を始める。

なのでこの時期の列車は大概予約無しでは座れないし、大抵の乗客はでかいスーツケースを1つ以上は運んでいるので、下手したら立つスペースすら無い場合もある。

そんなだから、自分としてはなるべくこの時期の移動は避けたく思いつつも、毎年どこかに向かってしまっている。

去年はポーランドへ向かったが、今年は24日にデン・ハーグで録音を抱えていたので、オランダに向かう事になった。反対方向だ。

ポーランドへ向かう時は、いつも人懐こいポーランド人や他の乗客と仲良く喋ったりして楽しいのだが、東ヨーロッパの人々が純朴な感じがするのと反対に、西ヨーロッパの人間は、私の印象では摺れていてあまりそういう楽しい状況にはなりにくい。人と人の間に東欧よりは距離がある感じだ。

なのでオランダへ行く時も大して期待していなかった。

今回も懲りずにまたヒッチハイクサイトを利用して乗り合いでオランダに行く事にしたので、駅で待ち合わせたのだが、行ってみると既に他の乗り合いの人もいて、それがでかい兄ちゃんばかりだった。

もしや・・・と思い、さらに一人の兄ちゃんに
「オランダ語出来る?」

となんか上手くないドイツ語で話しかけられて」
「いやー・・・発音が難しくてねえ・・・。」

なんて答えつつ、さらにもしや・・・と思ったが、案の定、全員オランダ人だった。

そりゃそうだ。23日に出発なんてのは、クリスマス休暇で実家に帰る人ばかりだ。

オランダ人は未だに宣戦布告無しでナチスに攻め込まれた恨みを忘れず、普通の状態でもドイツ語を話したがらないものだが、休暇で里帰りモードに入っていて、周りがほとんどオランダ人と来たものなら、もうドイツ語なんかしゃべる訳が無い。

私だって、夏に帰省するときにJAL にでも乗りこんだものなら、もうドイツ語をしゃべる気力も涌かないからわからなくもないが、目的地に着くまで皆さま、オランダ語ばかりだったので、遠慮なく昼寝させてもらった。(それでもナビゲーターはドイツ語だったのがちょっと不自然だった。)

相乗りの場合、暗黙の了解で、助手席に座った人はなるべく運転手としゃべって、運転手が眠くならないように気を使っている場合が多いのだが、それは流石に抜け目の無いオランダ人がちゃんとこなしていた。

今まで何度かオランダードイツ間を相乗りで往復したが、実は私以外オランダ人オンリーだったのはこれが初めてで、今までは運転手はドイツ人ばかりだった。

ドイツ人は国境を超えると大概機嫌が悪くなる。どうもオランダの道路の作りが悪いらしく、初め3車線だったのが途中でいきなり2車線になったりすることがやたら多く、渋滞が多いのだ。

それでぶつくさ言い始めて雰囲気が悪くなる事が多いのだが、全員オランダ人だと、まず言葉がわからないという利点もあるが、この渋滞にも馴れているし、オランダの道路事情がクソなのも知り尽くしているので話題にもあがらない。(オランダ語とドイツ語は結構近いので、話題くらいはなんとなく予想できる。)

それになんとなくオランダ人には

「まあ、なんとかなるさ~!」

という楽天的なのが、ドイツ人に比べて多い気がしないでもない。四角四面なドイツ人に比べて付き合いやすい面もあるが、いい加減過ぎて困る事も多い。

そもそも、そんなだから

「じゃ、黄金の国にでも行ってみようか?」

と目的地変更をして、かつて太平洋を越えて日本にまでたどり着いてしまったのだろう。

ドイツからオランダへ行く私の印象では、オランダ人は比較的フレンドリーに見える。
道に迷って困っていると、こちらから尋ねる前に

「何か困っているの?」

と話しかけてくるのがオランダ人だ。

ドイツで例えば受付などで話し合っても埒があかないから戦いモードに突入する様な状況下でも、オランダでは

「ま、なんとかなるわよ!」

とあっさり引く場合が多い。

だからオランダに到着して駅近くの広場で車を降りた時も、他の相乗り客が

「駅はあっちだからね!大丈夫?わかる?」

とわざわざ教えてくれた。

行きはこうして相乗りを利用したからラッシュに巻き込まれずに済んだのだが、録音を終えて26日に帰路についた時は、まさに帰宅ラッシュ真っただ中だった。

この時は、ユトレヒトでドイツ行きのICEに乗って一気に帰路につくつもりだったのだが、折からの大雪のせいか、ICEはドイツ国境近くのArnhem という街で止まってしまった。
なので、実際はそこまで別の電車で行かなければいけなかったらしい。

・・・・と、いうのは、ユトレヒトで遅れているICEを待っていたら、突然そういうアナウンスが来たのだ。

問題だったのは、初めにオランダ語でアナウンスをし、ドイツ語で再びアナウンスをした時には、乗らなければならないはずの別の電車のドアが閉まり、英語のアナウンスが始まる頃には出発していた事だ。

これで乗り遅れた客がかなりの数出てしまったのだが、よりによってオランダ語が出来ないドイツ人ばかり(と私。)が取り残されたわけだ。

私は別の乗り継ぎを探さないといけないと思ったので、さっさとチケット購買窓口へ向かったのだが、そこには既におおっぴらに文句をたれるドイツ人が陣取っていた。

「アナウンスが始まった時にはもうドアが閉まっていて、いくらボタンを押しても乗れなかったんだぞ!一体どういうオルガナイズをしているんだ!オランダ鉄道は!!」

とブチ切れまくっていたが、こいつがいつまでもブチ切れているもんだから、列が進まない。
おまけにドイツ語で文句を言いまくっているので私にも理解できた。

あまりに時間を食っているので、横から

「もしかしてあなたもドイツ方面に行こうとしてました?」

と言うと

「そうだよ。みんな乗り遅れちまったんだ!オランダのオルガナイズはどうなってるんだ?!」

とぶつくさ言い続けているので、

「言っておくけど、ドイツ鉄道なんてもっと問題多くてひどいと思うけど。あなたここで問題に馴れておかないと、国境越えた後の方がもっと問題が多いと思いますよ。」

と言い放ち、

「ところで私たちはどの電車に乗ればいいの?」

と、ついでに割り込んで窓口のお姉さんに訊いてしまった。
すぐに14番線の列車に乗れとの事だったので急いだが、これだからドイツ人は面倒だ・・・とゲンナリした。大体、オランダのオルガナイズが悪いのは国民性だと私は既に諦めているし、ICEがユトレヒトまで来れなかったのは、ドイツ鉄道側のミスもあるんじゃないかと思われる。

ICE(Inter City Express)という電車自体がドイツ鉄道の車体だが、整備が悪いのだか知らないが、暑ければクーラーが壊れて車内が50度近くになってしまったり、寒ければ故障して動かなくなって車内で一晩過ごす羽目になったりと、ドイツ国内でいつも問題を起こしているのだ。

それをこのドイツ人、外国に来てまで、おまけにドイツ語で言っても仕方ない文句を延々とたれるんだから鬱とうしいったら無い。これでますますその場に居たオランダ人たちに嫌われたことだろう。

14番線から発車した電車で私や他の乗客はドイツに向かって発車したが、2回ほど乗り換えて案の定ドイツ国内にたどり着いたら、列車の発着はめちゃめちゃに乱れていた。

どうも列車が一つ運行停止になった様で、私がデュッセルドルフから乗り込んだICEは乗車率200パーセントで、通路に立つのもやっとだった。

それも発車するまでにやたら時間がかかり、どんどん乗客が乗り込んでくる始末。

ここで欧州の人間がいかに個人主義という名の自己中心的気質そのものなのかを目の当たりにして私は心底嫌になった。

と、いうのも最後にロシアなまりのカップルが乗り込もうとして、既に場所が無かったので

「もう少し詰めてもらえませんか?」

と言っていたのだが、30分ほど駅で列車が立ち往生して、乗客たちはイライラ絶好調だったのだろう。

「もう無理だよ。次の電車に乗ればいいじゃない?」

と、詰めようと私が動いている横で誰かが言った。それを聞いて他の人もあっさり詰めるのをやめてしまった。

東京でラッシュに小学生の頃から揉まれている私には、ドイツで乗車率200パーセントなんて言っても、寧ろ空いて見えたが、誰も動こうとしない。寧ろ場所が無いと言わんばかりにさらに場所を取って座りこむ奴まで出てきた。

ここはドイツだから、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」なんて、誰も読んだ事が無いのだろうな・・・とふと思った。

でもきっとどこかでお釈迦様も見ていたのだろう。

その電車は次の次のモンタバウアーという駅まではノロノロと走ったのだが、そこでまたもや止まってしまったのだった。

アナウンスでは

「乗り込みすぎていてこのままでは走れません。予約の無い乗客は降りてください。」

と言っている。予約がどうのと言っても、そもそもダイヤが乱れ過ぎていて、予約通りの列車に乗れた客なんてほとんどいなかっただろう。しかしドイツ人の性で規則は守るので、意外にも半分ぐらいの人が降りた。
国民性ジョークでタイタニック号の話でうたわれている通りだ。(規則ですから飛び込んでください、と言ったら、ドイツ人はみな飛び込みました・・・というあれです。)

私ももう予定より2時間も遅れているし、立ちっぱなしだったから、寒いホームに降りるかどうか悩んだが、隣を金髪の姉ちゃんがまだ降りる人がいるにもかかわらず、押しのけて乗ってきたのを見て心底嫌になり、

「私は東京出身だから、混雑した電車には馴れているが、こんなエゴイストばかりの状況は見た事が無い!!」

と捨て台詞を残して結局降りた。
それ以前にも、通路の端に立っていたら、

「次で降りるから荷物置かせてくれ。」

と座っていた乗客が、網棚にでも載せればいいスーツケースを、私をどかせて私が立っていた場所に置いたもんだから、立つ場所すら無い状態に置かされて私は切れていた。

さらにホームで25分ほど―3度の気温で次の電車を待たされ、自宅についた時には本来の到着時間より3時間も過ぎていた。

ユトレヒトのドイツ人に私が言った事はおそらく正しかった。
きっと彼は故郷の鉄道でさらなる困難に出会った事だろう。ざまあみろだ。

それにしてもオランダ国内では列車内はここまでギスギスしていなかった様に思う。

冬だから天気に機嫌を左右されるドイツ人がイライラしているのは知っているが、こんな中にいたら、日本人でもカサついた人が増える訳だと天を仰がざる得なかった。














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