独逸発! あや太郎新聞

欧州での9年に及ぶ様々な経験を得意の毒舌を生かし、斜め左から書き綴っていきたいと思います。そして私が小学生のころ、学級新聞として書いていた「あや太郎新聞」をここで復活させたいと思います。

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前回は今までのルームシェアでの経験についてお話ししたが、私は今現在もルームシェアに住んでいる。

例のヒッピー・ルームシェアのカオスさに耐えかねて脱出を決意し、たまたま学校に張り出してあった音楽家ばかりのルームシェアを見に行って、そこでほぼ即決した。

何しろ学校から1分の立地に加え、市街地のほとんど真ん中近くにあるという便利さ。さらに上の階はお医者さんが開業していて、下の階は歯医者さんなので、楽器を練習する事に何の問題も無い上に、ここがすごいのだが、この条件での相場より100ユーロほど家賃も安かった。

ただでさえ部屋探しの大変なフランクフルトで散々苦労していた私は翌日即答してこの部屋に決めた。

普通だったらこの場合、事故物件では無いか??とまず疑う所だが、いくつか安いなりの問題点もあった。

まず、4部屋あるこのルームシェアの住人は、私が入居するまで全員、中国人だった。

だからあちらさんにしてみたら、日本人はやっぱ嫌だろうと、一応決める時に

「こういうのって、ルームシェア全員と面接して、一番ふさわしいと皆が思った人が入居出来るんでしょ?日本人でもいいの?」

と訊いておいたが、

「いやー、もう時間が無いしさ。早く決められるなら決めたいんだ!それにまあ、日本と中国でも仲良くできるでしょ?」

と、「本当にそう思ってんのか?」と疑わせる発言をしていたが、まあ中国人のいい所は5000年の歴史と広大な国土に培われた大らかさの様で、あまり深く考えていない様だった。

ただ、部屋の内覧の時に既にかなりのカオスの状態で、台所や洗面台や便所はここがヨーロッパだとは信じられない様な状況を呈していた。

「これじゃあ、この部屋にはドイツ人、特に女性は無理だな・・・。」

とその時思ったが、やっぱりそうだったみたいですんなり入居が決まった。

決まってから2週間後にヒッピー・ルームシェアから引っ越してきたが、まず取り掛かった事はもちろん掃除だった。

もう、使うのを憚れるぐらい汚い便器や風呂釜に加えて、台所は虫でも涌くんじゃないかと思うぐらい汚かった。いや、実際、最近でも、何かの食物から蛾が涌いたくらいだ。

初め、一人で便所掃除をしていたら、同居人の一人のシャオウェイ(少為)とマイク(麦克)とシ―(渓)が帰宅。

「大分綺麗になったでしょ?」

と言うと、何やらシャオウェイが男どもに怒りをぶつけている。
さらに彼女の命令で他の男性陣3名も台所掃除をしだした。

シャオウェイ曰く、

「もう、私、ずっと一人で耐えかねて来たんだけど、この男どもは一回も掃除した事が無いのよ!!これを機会に掃除させなくちゃ!!」

との事。流石に他国人に掃除されて気まずかったのか、結局、同居人全員で掃除をする事になった。

これは、私の現在知る限り5年間は中国人しか住んでこず、1度も掃除されなかったであろう、この中華ルームシェアに文化革命が起こったに等しい事件だった。

何しろ、拭き掃除をしたら、床の色が変わったくらいだ。1年2年の汚れの積もり方では無い。

また、台所も彼らは中々ワイルドに炒め物などしていた様で、油汚れが凄まじい。
それもナイフで削ったりしながらなんとか掃除した。

一番仰天したのは、流し台を磨こうとして、そこにあったスポンジでサッと拭いた瞬間だ。
スポンジ自体が汚れてたのだろう、なんだか黒いものがワラワラとスポンジから出てきた。

しかし!!!

ハッと私がもう一度見た瞬間、その黒いものどもはウネウネと動き出した・・・。

虫だった。それもひじきにそっくりの黒い虫。

「ひいいいいい!!!」

と悲鳴を上げるとシーが来たが、奴も

「うわああああああ!!!」

と引き下がった。それぐらい不気味な光景だった。

その後、気になってGoogle で調べたところ、(「ひじき虫」で検索したらたくさん出てきた。)オオチョウバエという、蝿と蚊の中間の虫の様だ。

結局、シ―が水で流してスポンジを捨ててくれたが、もう私は一生、ひじきが食べられなくなった気がした。中国人たちはひじきの様な食べ物は無いのか、そういうトラウマは無かったようだ。

この時、それでも大分掃除したのだが、とにかく物が散乱していて汚いこの部屋は一度や2度の掃除でどうにかなるレベルですら無かった。

その後、私は夏休みで日本に帰省し、戻ってくるとシャオウェイがいなかった。
彼女は中国で仕事が決まって完全帰国してしまったのだそうだ。

それで掃除友達を失った私はショックだったが、今度はこの部屋に新しい入居者が来る事になり、学校に掲示したり、インターネットで募集をかけたりして新しい同居人を探す事になった。

初めの2,3人が訪れた後で、流石の同居人のマイクとシ―も気がついた様だが、さすがの我が家の汚さに一目で不可能を感じて応募者に断られる事が多かった。マイクとシーは初め、

「新しい同居人は女の子がいいな!」

と言っていたが、女の子こそ一目で拒否だ。それでも入りそうなのは男ばかりだったが、やっぱり別のまともな部屋が他に見つかってしまう様で決まらない。

フランス人やスペイン人留学生も来て、彼らラテン系ならどうせカオスだからいいかな?と思ったが、やはり無理だった様で決まらなかった。

流石にこれで思い知ったのか、マイクもシーも動いた。
とりあえず廊下に散らばる靴と訳のわからないものを全部、地下室に隠して、見た目だけでも整えてくれた。(私としては、いっそ要らないものは捨ててくれ!と思った。)

廊下には何故か炊飯器が4つ、タンバリンが3つほど、靴が30足に洗濯物や本が散らばった状態だったのだ。

その甲斐あってだろうか。ようやく我々の中華・ルームシェアにも新しい入居者が決まった。
カナダからのピアノの留学生でアビなんとかいう名前だったが、フランス語で聴き取れなかった。

そしてやはり・・・というか、彼が初めの二日間かけて取り組んだのは部屋の掃除だった。

それまでに12人くらい部屋の内覧に多国籍な人たちが来た。一人一人面接みたいのをして、後で私たちで話し合って、気が合いそうな人に「決まりました」と連絡をする。見に来る方も本当に入る事に決めるかどうかわからないから、こっちがOKでもあっちが駄目だったり、その逆も多くあった。
しかし、いくら汚くてカオスでも、超・住宅難のフランクフルトでは、安くて街の中心にあるこの部屋の利点は大きい。希望者は思っていたより多かった。

これらの経験の後、同居人代表格(一番長く住んでるから。)のマイクは、

「いやー、権力者に皆が成りたがる気持ちがわかったよ。いいねえ、こうやって面接して誰がいいとか選ぶ立場になるのって!!」

とこの小さな権力行使に幸せを感じていた。

ちなみに、風水を気にする私には、この部屋は実はあまり風水的に理想な形では無いと常々思っていたのだが、(汚いし、当たり前だが。)このマイクとシ―の二人はとにかく能天気で、いつもインターネットでくだらないコメディなんかを見てケラケラ笑っている。「日々是好日」と言った感じで毎日幸せそうだ。

この人たちのお陰で、なんだか部屋の風水も良くなっている様な気もしないでもない。

ただし、ベランダには今までに住んで帰国して行った中国人の残して行ったガラクタが山の様に積みあがっていて、これらを全部捨てるのに3カ月以上はかかりそうである。

ちなみにどんな感じかと言えば、カーペット3枚、服がごっちゃまぜに入った袋、靴がいっぱい入った袋、ボロボロのドライフラワー、野ざらしのジーパンやセーターが何枚も・・・それに山の様な段ボールに鏡や雑誌などである。

どうして一々捨てなかったのか。

5000年の歴史による大らかさもここまで来るとかなり厳しい。







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